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25 鋳 物 第 46 巻 第 6 号

UDC 26 .1.547 33 577.966

キュポラ溶解にふ、ける硫黄の挙動T

阿 部 喜 佐 男 *

Behavior of Sulfur in Cupola Melting


by Kisao ABE ,Dr. Eng.

Synopsi:
This yduts was made ot yfiralc eht phenomena fo eht refsnart fo ruflus from coke ot meta~
when eht metal si molten down ni .alopuc
A suoruflus dezidxo mlif si formed on eht ecafrus fo eht metal gnisap eht gnitaehrp .enoz
This mlif si very niht and eht id 妊noisu fo eht ruflus ni eht mlif otni eht metal was ton .dezingocer
nI eht gnitlem zone ,eht dilos metal changes ot a molten drop etats ,and ruflus noitprsba searcni
yldipar up ot about 06 -8 0% fo latot .noitprosba One fo eht ecruos fo ylpus fo ruflus si eht 2S gas
raen eht ecafrus fo eht coke and eht rehto si eht S02 gas ni eht combustion .erhpsomta
tI was confirmed taht erht si ssel ruflus pick-u ni gip nori than ni ets .1 The reason rof
siht phenomenon was derisnoc ot be taht 社erel era ytnelp fo C and iS ni gip nori which setavitca
.noitaziruflused

石灰石の硫黄分も低く,多くは 0.03% 以下であれ


1.緒言
裏張りに使用するろう石,マグネシャ耐火れんがには,
キュポラの溶解機構は,他の炉に比べて趣きを具にし こん跡程度の硫黄分があり,これらを硫黄の供給源とみ
ている.コークスと地金とを交互に層状に装入し,この ることはできない.
コークスを燃焼させながら,その上部にある地金を溶解 装入材料のうちでもっとも多く硫黄を含有しているも
するようになっている.したがって,地金はコークスと のはコークスであり,多くは 0.6-0.8% 程度である.
接触しながら溶解されるので,種々の影響を直接に受け この硫黄の形態は複雑であるが,放射性硫黄を利用した
る. 調査 1) では,石炭中の約 70% の硫黄がコークスに移行
まず,地金の加炭現象が広く知られている.これは, し,その約 90% は炭素と結びついていて,分離しやす
材質の向上に役立つものとされている.しかし,コーク い形態であるとしている.
ス中の硫黄も,同時に地金に移っていく.鋳鉄中の硫黄 コークスが燃焼すると炭素分は消失し,灰が残る.こ
は,鋳造性や材質を損うものとして,極力少なくする操 の灰に含まれる硫黄は,表 1 に示すようにきわめてわず
業法をくふうすることが必要である. かであり,重量比で 0.1% にすぎない.したがって,大
そのためにまず,硫黄が地金へ移行する機構,脱硫の 部分の硫黄は,燃焼に際してガス化される性状のもので
機構など,炉内における硫黄の挙動を明らかにする基礎 あり,これらが,地金に対する硫黄の供給源とみなされ
的研究を行うこととした. た.

.2 コークスに含まれている硫黄 3 固体地金の硫黄吸収

キュポラ溶解に使われる種々の材料に含まれている硫 地金は,予熱帯では固体であり,溶解帯及び湯だまり
黄とその性状を,調査してみた. 部では液体となり,それぞれ異なる条件でコークスや燃
まず銑鉄の硫黄量は一般に低く, 0.2-0.4% 程度で 焼ガスと接し,硫黄の吸黄の吸収条件も変わってくる.
あった.鋼くずも 0.03% 程度であったが,キュポラ溶
解では,これを多く配合しても低硫黄の溶湯は得られず, T 昭和84 年 7 月02 日原稿受理
むしろ銑鉄より高い硫黄量となることに注目したい. * (財)綜合鋳物センター ヱ博

( 32 )
キュポラ溶解における硫黄の挙動 325

そこでまず,国体地金の硫黄吸収現象を解析してみるこ S02+3Fe=FeS+2FeO ・……・....…ー( 1)


とにし fこ. J. GO = 37- ,
50+ 3.52 T め

なおここで,地金の硫黄に対する出入現象に関して, この式から, 1,
0oC における.J GO = -41 053
, また
7a
tm と計算されるので,予熱帯における温度
用語を規定しておきたい.まず,地金に硫黄の吸収され PS02 宇1O-

る現象を吸硫と呼ぶこととする.これとは逆に,脱硫は 及び S02 の低い分圧下であっても,吸硫反応はじゅう


地金から硫黄が脱出する現象をいい,吸硫量よりも脱硫 ぶんに進行しうることがわかる.
量が少なければ,結果的に地金は加硫されたとし,逆の そこで,この反応を確かめるため,次のような実験を
場合には減硫された,と呼ぶことにする. 行った.内径 200mm のキュポラにコークスだけを充て
予熱帯における地金は国体であり,吸硫される可能性 んし,羽口上 400mm に位置するように直径 25mm の
は少ないように思われる.しかし,地金の表面は硫黄系 鋳鉄片を 5 個おき,また,直径 20mm の鋼棒を中心部
ガスを含んだ燃焼ガスにさらされているので,吸硫が全 に立てて,燃焼させた.送風開始後約 5min ごとに鋳鉄
くないとも思われない. S
tockamp わや種々の調査3) で 片を 1 個ずつ,また鋼棒は 19min 後に引き上げ,これ
は,硫黄系ガスを大部分 S02 ガスとみなして大きな誤 ら試片の表層を 1mm , その内面を 1mm 切削して,
ちはない,とされている.この S02 ガスと地金との反 それぞれの硫黄量を分析,比較したのが,表 2 及び表 3
応を熱力学的に検討してみると,次のようになる. である.

表 1 コークスの灰の化学組成例

種》ぞ空l 20iS 30zlA 302eF CaO ふ S03 MgO P 20 5 K20 Na 20

A 52.
L
X
D 61.2

表 2 鋳鉄試片表面の硫黄含有量の増加
~
l

ト-l00~1
lI

J
~



え、
片 単位 m m
十 「 ト はち

ドァ
::
'c d

時 Ll C 1slC ;slC 1|1slC J7s l C l

層 I .3 91 1 30. I .3 01 1 03. I ~9 1.0 620 1 32.3 1 481.0 1 ~: ~i:1 8 m 1 92.3 I 21.0

内 表 I 2.3 I0ωI 3 叫O ω I 14.3 I.o 320 1 3 判 .O 0231 ~見 ltEU3ω1 0 回6

表 3 鋼棒試片表面の硫黄含有量の増加
下端
て- f 一一一一一一 J
ヒ主竺十ーナー,-----,-一「←司定試片 単位 mm
-105+- 05 -+50 -+50 -+-50~

下端からの距離 mm 。 -50 50-10 10-150 20-250


i
l

ーーー
i

-


イ d寸」
成 分
, Pぢ C S C S C S C S C S
1

-



74
T

1
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740.
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--

--
--

表 層
q
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巧,

o
i



i

噌E

i

630.


斗A

内 層

(3 )
425 鋳 物 第 46 巻 第 6 号

この結果,地金が予熱帯を通過する温度,時間条件で の表面には,空気中の酸素は到達し得ないとしているの
も地金表面には明らかに硫黄を含んだ酸化膜が形成さ で,コークス表面には 5 ,ガスだけが存在し,この部分
れることがわかった.この酸化膜は,大平ら町の EPMA では,溶滴は 25 ガスから硫黄を吸収するとみなされる.
の分析によれば, Fe5 を含んだ FeO で構成されてい またこの現象は,湯だまり部における溶湯の吸硫にもあ
る,と報告されている.しかしこの酸化膜は,図 1 のサ てはまると考えられる.
ルフア・プリントに示されているように,ごく薄く,し そこで,これらの溶湯とガスとの反応を,化学平衡的
かも地金内部にまで移行した形跡は認められない. に可能性を推定してみる.まず, 502 ガスに対しては
また,操業途上で採取した装入地金の銑鉄と銅くずの 502=[9 ぢ5]+2C%0] ・・・…・….・.・ (2}
表層と内部の硫黄量を分析したが,表層がやや硫黄量に 1L GO =1 ,
780+ .31 4/T り

富む程度で,地金全体として硫黄が増加した傾向は,認 の平衡式を使うこととした.いま, C%CJ=3.5 とし,


められなかった.このように,実験的規模及び実際操業 1,
05 0
C では
における調査から,予熱帯における固体地金の硫黄吸収 C%C]+C%OJ=CO ……ー ••••••• ……… ・
・ (3 )

はほとんどないものと判断した. 1L GO = -5 ,
30-9. )4T84
が優先するので,これらの式から C%OJ =0. 4130 と
.4 溶湯の硫黄吸収
計算された.
1.4 溶湯の硫黄吸収源 また, C%5iJ=2.0 とし, 1,
03 o
C のときの反応は
地金は,予熱帯を降下する聞に加熱され,溶解帯に達 C%5iJ+2C%OJ=5i02 …
.…
..・
.・
.. (4 )
して溶解され,溶滴となって,コークス粒上を転がりな 1L Go = -142 ,
0 十 5.0T 叫

がら湯だまり部へ落下する.溶解帯の湯度は,最高部で が優先するので,これらの式から C%OJ =0.975 と


1,
08 0
C にも達するので,溶湯の硫黄吸収は,予熱帯に 計算された.
おける固体の地金に比べてはるかに激しくなる,と予想 この酸素溶解度から, (2) 式の 502 の平衡分圧を求
される. めた.まず C%5J=0.1 とし, 1,
03 o
C では Pso2=3.7 .8
o
この溶湯に対して硫黄の供給源となるものは,コーク X -Ol 7
となり ,1,
05 C では Pso 2=3.17X10- 6
とな
スに含まれる硫黄以外には考えられない.そこで,溶解 り,いずれの温度でも ,50 2 ガスの平衡分圧はきわめて
帯のコークスの状態をみるときわめて高温になってお f底いことがわかった.
り,コークス中の硫黄は,容易に気化して 25 ガスとな 鋳鉄中に含まれる酸素の平衡濃度は明らかにされてい
り,次に 02 と反応して 502 ガスとなる.したがって ないため,前記の C%OJ が妥当であるかどうかわから
溶滴は浴解帯を落下する問に,これと接触して硫黄を吸 ないが,親和力の強い C ,i5 が多く含まれているので,
収することが,まず考えられる. その値よりも著しく高くなることはないであろう.多少
一方小泉6) によれば,燃焼して高温になったコークス 高くなったとしても,計算で得られた 50 2 ガスの平衡
分圧は,溶解帯に存在する 50 2 ガスの分圧
2 ヨ 4
~Jm棒 下
端 E 告の距再珪 鋳鉄まえ、昨 保持時間 より著しく低いので 25 ガスによる硫黄吸
収の可能性はじゅうぶんにあるとみなされ
る.

01 cm 17 司 n/ つぎ、に, 25 ガスからの硫黄吸収の可能性
をみるため,溶湯中の C%5J に対する 25 ガ
スの平衡分圧を次の式で求めてみる.
をC
=25 労5
J …
・・..…
..... …( 5)
1L Go=-31 ,
520 十)
4T72.5
いま,溶湯の硫黄濃度を C%5J=0.1 としテ
15cm 19 m ,
'n
o
溶解帯の最高温度を 1,
08 C とした場合,
PS 2=4. 85 X -01 7 と計算された.また ,1},
(05
oC とした場合には Ps 2 =3. 46X -01 8
と計算
図 1 試片断面のサルファ・プリント され,いずれもきわめて低い平衡分圧となる

( 43 )
キュポラ溶解における硫黄の挙動 52

ので,コークス中の硫黄ガスも溶湯に吸収される可能性 により再確認する必要があったので,次のような実験を
はじゅうぶんにあるとみなされうる. 行った.
4.2 溶解帯及ひ湯だまり部における溶湯の加硫 実験は, 2S ガスと溶湯が典型的に直接接触する湯だ
溶湯の吸硫に対して熱力学的に検討を加えたが,実際 まり部に擬し,コークスを溶湯に浸漬して,加硫量を調
のキュポラ操業により,どの程度まで加硫されるかを調 べた. 01 替の黒鉛るつぼ中に銑鉄約 3kg を入れ,高周
べてみた. 波電気炉で溶解し,約 1,
05 0
C に達したのち, 20-30
操業実験に使用したキュポラは,内径 480mm のもの m m 角のコークス粒約 0.7kg を溶湯に浸潰した.分析
で,脱湿,熱風送風を行った.溶解操業にあたっては, 試料は,コークス粒聞の溶湯を内径 2mm の石英管で
銑鉄及び銅くずだけを装入し,それぞれの溶解時の加硫 吸引し, C とS を分析したが,それらの成分を経時変化
をみるようにした. として示したのが図 2 である.
まず,溶解帯の加硫の調査には,アルミナ粉を厚く塗 加硫量は 5210. ぢ程度であり,前述のキュポラ実験の
布したV 宇状鋼棒を,羽口から炉内に約 70mm そう入 それには及ばなかったが,これは,カ日硫条件が及ばない
し,上方から落下する溶滴を数個受けて分析試料とした. ためであり, 2S ガスからの硫黄吸収は実証された.
次に,湯だまり部を通過することによって起こる溶湯の 一方,溶湯は溶解帯で S02 ガスとも接触する.国体
硫黄量の変化を調べるため,出湯といから試料を採取し 地金については前に述べたとおりであるが,反応速度か
た.その時期は,羽口面で溶 i衡を採取し;:,cから 5min らみれば,溶湯の吸硫は著しく増大することが考えられ
後とし,連続出湯といから内径 2mm の石英管で溶湯 る.
を吸い上げて,分析試料とした. そこで, S02 ガス気流中における固体地金と溶湯との
以上の方法によって採取された溶滴及び溶湯につい 吸硫量を比較する実験を行った.試片は径 5mm ,高さ
, C 及び S の分析値を比較したのが表 4 である.この
て .1 5- .1 8mm に作製し,これを磁製ボート上に並べて
表でわかるように,装入時に硫黄含有量 0.035% であっ 磁製管内にそう入し,加熱し,所定温度で S02 ガスを
た銑鉄は,羽口面までに急激に加硫されて 9160. ぢとな 流した.流量は 20c ,20min としたが,これは,予熱
り,湯だまり部を経て 0.081% となっている.このこと 帯における地金表面が受ける S02 ガス量を,試片表面
は,地金が溶解帯を通過するまでに総加硫量の, 56.5% 積に対応させるように決めたものである.
が加硫されていることを示している.鋼くずの場合には 通気後の試片は,硫黄を含んだ厚い酸化膜に覆われて
76.2% に達し,しかも銑鉄に比べて加硫量が高くなって おり,これを取り出してそのまま硫黄を定量し,増加量
いることもわかったが,これに対する解析は,後で述ぺ とした.
ることとする. しかし,加熱温度が 09 0
C を超えると,試片は溶融状
以上の実験から,地金がもっとも多量に硫黄を吸収す 態となって,扇平状に崩れてしまい,個々の試片を取り
るのは溶解帯であり,次には湯だまり部であることがわ 出すことはできなかったので,ボートを破砕し,地金部
かった.そして硫黄の供給源としては,溶解帯では 2S , 分を採取し,硫黄を定量した.したがって,酸化 1莫が含
S02 ガス,湯だまり部では 2S ガスである可能性につい まれないため,硫黄増加量としては低めに表されよう.
て化学平衡的に確かめたが,この現象については,実験
nmU 1
4
凋 ιAT
円 inhHMrhυ'A庁

表 4 羽口面及び樋における溶湯の C ,S の比較
4

0

411トl
aAbaAh

nHU
A川サ

C ,% iS ,%
ψ日

記 号|地金種別 卜一一一一「ー
羽口面|と い|羽口面|と い

32-A I 鋼くず I .1 17 I 2.94 I 01. I 521.0


32-B I 銑 鉄 I 3.76 I 85.3 I .O 160 I .O 180
注鋼くずの化学組成, C 0.16% ,iS 0.19% ,
S 0.020% 経過時間 ,min
銑鉄の化学組成, C .4 20% ,iS .1 84% , 函 2 コークス浸漬時間と溶湯の炭素,
S 0.035% 硫黄の変化

( 53 )
625 鋳 物 第 46 巻 第 6 号

それにもかかわ とみなし,表面の濃度が内部へ移動していく拡散の度合
らず,図 3 に示
0.7
L ↓試料制措 を t 時間における濃度変化で表してみると,次のように
すように,温度
上昇とともに急
. 60
0.5 "
-f
. mf/.c7c02Z32Oas3 %820a
S470Q
001
% 02
.tm n

%in


/
v なる )7
F=(C m ー Co) / (Cs-Co)


激な硫黄増加量 0.4;. ここで, C m は t 時における平均濃度 Co は初期濃度,
を示した;3. 0 。 Cs は平衡濃度, F は lanoitcrF Saturion を表し,

ここで,試片幅 拡散常数 D ,時間 t,試片の形状因子 L に関係し,無次
短 02.
0 0C
の形状に 9
O.J d 元化した数値、/0 正 L
/ の関数で表される.
あたりで相の変 II 形状が球形の場合には, F と
、/D.t /L との関係は直
化がみられた 味002 D.
004 006 008 0001 0011 即
日 線部と曲線部とにわかれ,直線部に対しては
が,これは S02 加熱;且皮,で F=3.385 、
/D.t L/
ガスによって生 図 3
試片加熱温度と S02 ガ ス に 曲線部に対しては
成 さ れ た FeO よる硫黄増加量 D・
/t L2= -0.05042-0.23 log(l-F)
及び FeS の共晶温度は 049 0C であること, Fe と FeS の式で表される.
の共品温度が 589 0C であることにより,それらの共晶組 これら D ,t,L をキュポラの条件に合わせて,固体
成のところから部分的に溶融が始まり,全般的に進行し 地金と溶湯の F の値を求めてみると,次のようになる.
ていった,とみることができょう. まず予熱帯の温度に相当する 1,
00C における鉄に
またこの実験では,硫黄量の高い試片及び鋼の試片も 対する硫黄の拡散常数として, inelsekniF 8) の提出し
併せて S02 ガスで流気したが,とくに銑鉄試片との聞 た資料から,計算に用いる数値として 2-7 X -O1 01 cm 2/

に大きな差異は認められなかった. ces を採ることとした.


以上の S02 ガス流気試験の結果,固体地金であって 04 0C 前後の拡散常数に
溶解帯の温度に該当する 1,
も温度の上昇とともに硫黄の吸収量は増加するが,その , Kawai
は 9) による Fe S-C- i.2( 52 ぢ)合金中の硫黄に
0 0C にいたって部分 ついて提出した資料にもとずいて 3 -4 X -O1 cm/sec と
5
量はわずかであった.しかし,約 9
的溶融が始まると,不連続的に飛躍的に増加し始め,完 することとした.
全に溶融すると,吸収量はさらに急激に上昇することが, また,予熱帯における地金を四つ割り銑鉄とし,その
表面積を調べると約 100cm 2 となったので,これを球
判明した.
したがって,予熱帯の固体時の地金が硫黄を吸収する にみなせば半径 3.3cm となり,計算にあたって L を 2
としてもごくわずかである,という前章の現象を再確認 -4cm とした.この地金が予熱帯を降下する時間を,
するとともに,溶融した地金つまり溶解帯における溶湯 1,
20-1 80
, ces とした.
のほうがはるかに硫黄を多く吸収することを裏付けた. 溶解帯における溶滴は,前記の羽口採取の状態から,
3.4 溶湯の硫黄吸収を促進する物理的要因 半径を 1-3mm とし,落下時間は推定で 1-20sec と
これまで,固体地金と溶湯が硫黄を吸収する現象を化 した.
学反応の面からとらえて解析し,溶湯の硫黄吸収の著し このような条件のもとで、居可/
L を計算してみると,
いことを明らかにした.しかし,溶湯とくに溶解帯にお 予熱帯では最大条件のもとで .5 6x -01 <,最小条件のも
ける溶滴の硫黄吸収を促進する要因には物理的なものも とで1. 2x -01 4
となった.溶解帯では,最大条件のもと
あり,ここでは,この点の検討を加えることとする. で 2.8X10- 1
最小条件のもとでは .1 8x -01 2 となった.
前項の実験から,固体地金でもその表面層は硫黄を吸 このようにして求められた各条件におけるゾ D.t /L
収していることが,認められた.しかし,その硫黄は表 の値を F との関係に照合してみたのが,図 4 である.
面にとどまり,地金内部まで移行していかず,地金全体 この図から澗者を比較してみると,溶滴の場合に,表面
からみれば,硫黄の吸収量はごくわずかであり,この点 の硫黄が内部まで移行する度合がはるかに高い.このこ
が溶湯の硫黄吸収と全く異なっている,と考えられた. とから,吸硫反応が継続して進行するものとみなせる.
このことから,両相の地金の吸硫の差には拡散現象が これをキュポラ溶解にあてはめて考察すれば,溶解帯
大きく関与している,と推定される. における溶滴では,表面に吸収した硫黄が急速に内部ま
いま,地金の形状を固体,液体の区別なく相似的に球 で拡散していく度合は大であり,表面では,さらに硫黄

( 63 )
キュポラ溶解における硫黄の挙動 725

の吸収を続ける
.6 結 言
ことができるの
で,予熱帯の国 キュポラ溶解におけ一る硫黄の挙動について,次の点が
体地金は逆の傾 確認された.
向を示す,とい )1 予熱帯における国体地金表面にも,硫黄を含んだ
い得ょう. 薄い酸化膜が生成されるが,実質的な硫黄増加はない.
以上の実験と )2 溶解帯では,溶滴は急激に硫黄を吸収し,全加硫
考察から,予熱 量の 60-80% に達する.これは,溶湯と硫黄系ガスと
OJ
帯におけるより の反応速度が固体のそれと比べてきわめて高いことと,
も溶解帯におい 図 4 F に対する、/1)正 /L の関係 鉄中の硫黄の拡散速度,形状因子などの物理的要因も吸
て,地金の硫黄 と固態地金及び溶滴の範囲 収を促進することはよるものである.
吸収は急速に促進される,ということの理由が明らかに )3 湯だまり部でもかなり多くの硫黄を吸収する.こ
されたと考える. れは,コークス中の 2S ガスがその供給源である.
)4 銑鉄の場合には鋼の場合に比べて加硫量が少ない
.5 溶湯の炉内脱硫の可能性についての考察
ことがわかった.これは,鋼に含まれている C ,iS が銑
キュポラ溶解に使われる石灰石は,コークスに生成さ 鉄のそれに比べて低いので, CaO による脱硫が進行し
れる灰の洗浄にとって効果があるが,同時に脱硫作用も にくく,しかも酸化されて溶解されるため, FeO が多く
持っている.まず溶解帯では,石灰石の熱分解により生 生成し, CaO の脱硫を阻害するためである,と判断し
成した CaO 粉末は,溶滴と接触し,次の反応により脱 た.
硫が進む. なお,この研究の実施にあたり,御指導を仰いだ早大
(%CJ 十 (%SJ +CaO ,= CaS+CO ・・・・・ 一(6) 加山教授,協力をいただいた笹原,山中,中江,炭本の
lL G O =24 ,
10-25. 38T 的 諸氏,その他関係各位に対して心からの謝意を表する.
lM%SiJ+C%SJ+CaO=CaS+ j2S
1
i02 …(7)
lL GO=-60 ,
940 十.81 )4T16 文 献

溶解帯の温度域では lL G 。から考えて,これらの式は )1 日本ガス協会:都市ガス工業製造精製編, )5691( ,


いずれもじゅうぶんに進行する可能性がある. 71
また,溶湯の硫黄の活量に対する C と iS の効果をみ )2 H. Stockamp :ierseiG ,74 )0691( ,731
るため,銑鉄と鋼の標準組成における活量係数を求めて )3 例えば「鋳造工場の公害防止対策調査報告書」
みたが,銑鉄のほうが約 01 倍も高い値を示した.以上 )2791( ,綜合鋳物センター
のことから,銑鉄のほうが鋼に比べて脱硫されやすいこ )4 cisaB Open Hearth letS Making :AIME ,
と,したがって加硫されにくく,低硫黄の溶湯を得やす )4691(
い理由と考えられる. )5 大平,渡辺鋳物, 24 )0791( ,6,42
次に,湯だまり部におけるスラグによる脱硫を考える. )6 小泉:日本機械学会論文集, 62 )0691( ,961
スラグ中に存在する CaO が多ければ,溶湯は脱硫され )7 .L Darken ,.R Gury :lacisyhP Chemistory fo
る可能性が強い.この点で,塩基性操業は有利であり, Metals ,)3591( ,54
酸性操業では,その可能性がきわめて少ない. )8 .U inelsekniF :lacisyhP elpicnirP ni Study
しかし,塩基性操業でも, 0.5-7% の FeO を含んで fo Metals ,)591(
いる場合には, Chipman 10
) により提出された のsa/) )9 .Y Kawai :.icS .stpeR .seR .tsnI Tohoku
と FeO との関係を示す資料では,脱硫能力が急激に低 .vinU ,A 9 )7591( ,025
下することを示しており,強い脱硫をあまり期待できな )01 .J Chipman : Trans ,AIME ,191 )1591( ,913

( 73 )

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